清水 一行(しみず いっこう、1931年 - )は、日本の小説家。
プロフィール
東京都出身。早稲田大学法学部中退。高杉良、城山三郎らと並び、日本における経済小説の巨匠として知られる。息子に自動車評論家の清水草一がいる。
1966年に『小説 兜町(しま)』で作家デビュー。1974年に『動脈列島』で第28回日本推理作家協会賞を受賞しているが、ノンフィクション作家としての評価は今一つである。論拠が希薄で噂の域を出ないところを断言するスタイルが原因とされ、また「真実を追求するよりこけ落とす事に生き甲斐を感じる作家」というイメージも定着している。こういった彼のスタイルは、人権、人道の視点から度々非難され、甲山事件を元に描いた『捜査一課長』は名誉毀損で訴えられ敗訴した。また、実際に起ったOLの殺人事件に脚色を加え、それを発表した事で、遺族の心中を察しないその道徳感が非難された。
数多くの財界人を一刀両断するも、その話しの出所はつねに「近しい友人」といった曖昧なもので、空想の範囲を出ていないと評価する批評家もいる。
主な作品とそのモデル
- 「虚業集団」・・・芳賀龍臥(総会屋)
- 「欲望集団」・・・ロシア船ナヒモフ号引き上げ、笹川良一(日本船舶振興会会長)
- 「一億円の死角」・・・一億円拾得事件、神谷正太郎(トヨタ自販会長)、大貫久男
- 「社命」・・・KDD事件
- 「銀行取付」・・・豊川信用金庫事件
- 「敵対的買収」・・・ミネベア、三協精機
- 「一瞬の寵児」・・・佐々木吉之助(桃源社社長)
- 「毒煙都市」・・・三井三池染料爆発事件
- 「同族企業」・・・ヤマハ発動機
- 「迷路」・・・女子高生・OL連続誘拐殺人事件
- 「惨劇」・・・昭和石油取締役一家殺人事件
- 「器に非ず」・・・藤沢武夫(本田技研工業)
- 「こりねえ奴」・・・大日本インキ化学工業M資金詐欺事件
- 「虚構大学」・・・京都産業大学の設立
- 「大物」・・・石井久(立花証券)
- 「女帝」・・・尾上縫
関連項目
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甲山事件(この事件をモデルにした小説『捜査一課長』を書き、名誉毀損で訴えられ敗訴した)
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出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
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