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ふるさと納税

ふるさと納税
ふるさと納税(ふるさとのうぜい)とは、任意の地方自治体(ここでは都道府県市町村および特別区。以下同じ)に寄付することで、寄付した額のほぼ全額が税額控除される制度。(ただし一定の制限や限度あり。)

概要

2008年4月30日の地方税法等の改正により、個人住民税の寄附金税制が大幅に拡充される形で導入された。地方自治体に対する寄附金のうち、5,000円を超える部分について、個人住民税所得割の概ね1割を上限として、所得税と合わせて全額が控除される。2008年中に寄付をした場合は、2008年の所得税確定申告により所得控除がなされ、個人住民税は2009年度分が税額控除される。寄付の受け入れや具体的な手順については、各地方自治体が条例で指定する。
岩手・宮城内陸地震において、義援金代わりにこの制度を用いた寄付が見られた。

議論の経緯

※肩書きや名称等は全て当時のもの。
地方間格差や過疎などによる税収の減少に悩む自治体に対しての格差是正を推進するための新構想として、西川一誠福井県知事)が2006年10月に「故郷寄付金控除」の導入を提言しており、ふるさと納税の発案者と言われている。また、同知事は総務省が設けた「ふるさと納税研究会」の委員に選任され、賛成の立場から積極的に発言をした。
また以前から、実際の住所以外の場所に何らかの貢献をしたいという人は存在した。スポーツ選手などには都市部での活動機会が多いにも関わらず、故郷への思いから生活の拠点や住民票を移さずに故郷に住民税を納め続ける場合がある(たとえば将棋十五世名人・元将棋連盟会長の大山康晴は、東京在住でありながら晩年まで郷里倉敷市に住民税を納めていたという。河口俊彦「大山康晴の晩節」より)例や、長野県知事をつとめた田中康夫が知事在職中に「好きな町だから税を納めたい」として生活拠点ではないとされる地域に住民票を移そうとした事例がある(結局認められず)。これらは、住民税を納めることで地域に貢献したいという納税者の意志と捉えることもできよう。
政府も「安倍晋三首相が総裁選期間中も議論してきた重要な問題」(塩崎恭久官房長官)とし、2007年5月、菅義偉総務相が創設を表明した。同年夏の参議院選挙を控え、安倍政権として地方重視の姿勢を強くアピールする思惑もあったとみられる。
ただ、前述の研究会で議論が始められたさいは、賛成派・反対派ともに考えているイメージが定かではなかった。同年7月12日には、村井嘉浩宮城県知事)、斎藤弘山形県知事)、平井伸治鳥取県知事)、飯泉嘉門徳島県知事)、古川康佐賀県知事)の5人が共同で「ふるさと納税制度スキーム」を発表した。これによると、個人が「ゆかりのある市町村等」に寄付をした場合に、前年の住民税の1割相当額を限度に、所得税と住民税から税額控除するとしている。「納税」という名称であるが、形式的には「寄付」と「税額控除」の組み合わせ方式を採用しており、制度化されたふるさと納税に近い。
同年10月、同研究会では報告書をまとめた。

得失と賛否

地方行政の長である知事の現時点の意見では、構造改革による慢性的な財政赤字に悩む地方からは歓迎・賛成する意見が多い一方で、現時点で多くの税収がある大都市部からは反対や慎重な意見が多い。

メリット・賛成意見

  • 成長して生まれ故郷を離れても、その地域に貢献することが出来る。
    • 地方などでは、成人までの教育に税金を注いでも、就職する(=税金を納めるようになる)にあたって他地域に転居してしまうために、注いだ税金分の「元が取れない」と言う声もある(教育に支出される税金を「先行投資」と捉え、その回収を意図しての賛成意見である)。
  • 厳密な「納税」ではなく、「寄付金税制」の一環であれば制度設計は可能である。
    • 納税ではなく寄付であるため、一定以上の金額を寄付した場合に特典を設けている自治体もある(以下は一例)。
      • 県外在住者が5,000円以上を寄付した場合は大和茶など県産品から1品、50,000円以上を寄付した場合は県の推奨する黒米カレーセットなど『奈良のうまいもの』を贈呈。(奈良県)
      • 市外在住者が10,000円以上を寄付した場合は夏みかんや萩焼など9つの特産品のうち1品(送料込み5,000円相当)を贈呈予定。(山口県萩市)
      • 市外在住者が10,000円以上を寄附をした場合は『長門ふるさと便』として6つの特産品のうち1点を贈呈予定。(山口県長門市)
      • 5,000円以上を寄付したすべての者を対象に、石見焼や桑茶などの特産品セットの中からいずれか1セットを贈呈するほか、市ホームページに寄付金控除簡易計算プログラムを掲載。(島根県江津市)

デメリット・反対意見など

  • 「ふるさと」の明確な基準を示されなければ、自治体間で奪い合いになるおそれがある。
  • 適用対象が都道府県税なのか、市区町村税なのかが明確に提示されていない。
  • 行政サービスを受ける住民が税を負担する「受益者負担の原則」の観点から逸脱する(ふるさと納税を利用する人間は利用しない人間より安い納税額で居住地の住民サービスを受けられることになる)。
  • 自治体の税務が煩雑になる。特に、他の自治体分の業務については、当該自治体の収入にならない分の業務に当たることになるという矛盾がある。
  • 外国籍の人が日本に帰化した場合(戸籍上は日本に故郷がない)に対しての対策が示されていない。
  • 根本的な地方活性化や地方間格差を是正するための対策にはなっていない。
  • 税収の少ない地域が受けている地方交付金を合わせると、人口あたりでは現状でも都市部の税収と大差がない。
  • 「何をもって『ふるさと』とするかは、法律で決められるものではなく、住民税で払うのは極めておかしい。税体系としてナンセンス」(石原慎太郎東京都知事の発言)。

脚注

関連項目

  • ふるさと創生 - 1988年から1989年にかけて竹下内閣が実施した政策。各市町村に1億円を交付。
  • 地域振興券
  • 格差社会

外部リンク

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出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
Text is available under GNU Free Documentation License.
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